研究課題
オーロラの変動周期がPc5脈動に相当する、数分から10分ほどで変動する長周期オーロラ脈動の中には、東西オーロラアークが周期的に発生するタイプと脈動オーロラなどディフューズオーロラの輝度が周期的に変調するタイプの2種類ある。オーロラの特徴を南北方向ケオグラム表示でみると、東西オーロラアークはパッチ状脈動オーロラ領域のすぐ高緯度側に発生し、脈動オーロラの変調よりも位相が遅れて極方向への伝播を繰り返す。オーロライメージャの画像で見ると、オーロラアーク脈動は、東西アークの強度を増加しつつ極方向に伝搬し、その後に輝度を弱めて消滅する。このような時間的・空間的な変動が数分から10分ほどの周期で数回から10回程度繰り返される。一方、ディフューズオーロラの輝度変調脈動は、パッチ状などの個々のオーロラの形状は変えずに領域全体が数分から10分ほどの周期で輝度が変調する。本年度は、磁気緯度が同じで地磁気地方時が約1時間離れた地上の2点での全天カメラで観測された東西オーロラアーク脈動と脈動オーロラ輝度変調現象の同時発生イベントの詳細解析を行った。このイベントは幸運にも、現象の発生時には磁気圏赤道面付近の静止衛星GOES-10とGOES-12衛星のfootprintが全天オーロラカメラの視野内に位置していた。そこで、衛星で観測されたPc5磁場脈動とオーロラ脈動現象との比較解析を行った。その結果、Pc5現象の西向き方向への伝搬速度を明らかにすることができたとともに、磁気圏赤道面付近で観測された圧縮性磁場変動とディフューズオーロラの輝度変化の変調位相がおよそ180度の逆位相があることを明らかにできた。この特性はディフューズオーロラのPc5輝度変調が波動粒子相互作用によって引き起こされていることを示唆する観測結果である。
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