現世付加体や白亜紀付加体において観察される地震性断層が,陸上に露出する古い付加体にも見出される可能性は十分にある.特にジュラ紀付加体は,白亜紀付加体とは対照的に,海山起源の石灰岩や緑色岩が多数付加している.このような観点から,ジュラ紀付加体の海山起源の構成岩(石灰岩と緑色岩)と,砕屑岩類の境界断層について検討した.石灰岩相とチャートー砕屑岩相の境界を重点的に踏査し,断層岩の産出を確認するとともに,その産状記載を行った.また断層の運動像と活動時期を検討するために周辺での古地温構造の検証を,さらにジルコンのU-Pb年代やフィッショントラック年代などの検討を行った.
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