本研究の成果は以下のようにまとめられる.(1) 粘土鉱物は粉砕によって比較的容易に非晶質化するが,水を含むと非晶質化はしにくくなる.非晶質化によって降伏応力などの物性も大きく変化する.(2) 非晶質化させたカオリナイトを再結晶化させるには,地表では千年程度かかり,地震サイクルとほぼ同じ時間スケールになる.(3)スメクタイトが他の粘土鉱物に比べて高い液性限界を持つことは,地震断層の挙動を考える上でも重要である.スメクタイト含有量が数十%程度で,かなり物性に影響を与えるので,スメクタイト含有量が多い沈み込み帯においては,その挙動に影響を与える可能性がある.
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