| 研究課題/領域番号 |
15K05309
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| 研究機関 | 新潟大学 |
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研究代表者 |
宮下 純夫 新潟大学, 自然科学系, フェロー (60200169)
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| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | オフィオライト / オマーン / 海嶺 / 熱水変質 / 銅の挙動 |
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| 研究実績の概要 |
これまで，海嶺付近での熱水循環に関しては，シート状岩脈群の基底部付近におけるエピドサイトの形成が最も深部での現象と考えられてきた．しかし，その下位には厚い下部海洋地殻，つまりガブロ層が存在しているが，その役割は十分に理解されていなかった．オマーンオフィオライトにおけるこれまでの調査によりガブロ層上部を中心にして１０箇所以上の緑泥石岩体を発見した．最も深部に存在するものはガブロ層の上部で，最上部は溶岩層にまで達している．深部の緑泥石岩体では石英が全く存在しておらず，著しいシリカの除去が生じているが，シート状岩脈群の層準に出現する岩体では石英脈が存在しており，また，著しい変質帯（ゴッサン）を伴っていることが明らかとなった．つまり，深部で大量に除去されたシリカが，熱水変質帯を上昇していく際に，温度の低下に伴って石英を沈殿させていったことが想定される．こうして緑泥石岩体の垂直的な変化の実態が明らかになってきた．銅の挙動について検討した結果，深部の岩体では緑泥石岩体と周囲の母岩から銅が大量に除去されている一方，上位の岩体に伴う変質帯では，水酸化銅鉱物の出現が認められ，局所的に著しい銅の濃集が生じていることも明らかとなった．このことは，オフィオライト最上部に出現する塊状硫化銅鉱床の成因に新たな視野をもたらすものである．また，特異な変成岩である菫青石ー直方輝石岩を発見したが，この岩石の全岩化学組成は緑泥石岩と酷似しており，緑泥石岩が高温での変性作用によって形成されたものであることが予想される．こうした岩石のオフィオライトからの発見は，世界で初めてである．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画以上の進展と考えているのは，大量の緑泥石岩体の発見により，深部から浅部へかけての変化の実態が明らかになってきたためである．とくに上位の緑泥石岩体には，鉱床に伴うような強度変質帯（ゴッサン）が伴っていることが明らかとなり，また，石英脈を新たに伴うようになるなど，深部から浅部へかけての系統的なへんから明らかになってきたことや，深部における銅の除去と変質帯の一部における著しい銅の濃集が明らかになってきたことも，当初の計画においては予想していなかったことである．また，特異な変成岩の発見も全く予想外のことであった．
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| 今後の研究の推進方策 |
これまでの成果についての論文作成とその公表が今後の最大の方策である．詳細な野外調査や大部分のデーター収集についてはほぼ完了しているので，最終年度においてはこれまでの成果の公表に全力をあげたい．
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| 次年度使用額が生じた理由 |
親の介護のため，予定していた海外野外調査を実施できなかったため，未使用額が生じた．
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