研究課題/領域番号 |
15K05311
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
林 広樹 島根大学, 総合理工学研究科, 准教授 (80399360)
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研究分担者 |
佐々木 理 東北大学, 学術資源研究公開センター, 准教授 (60222006)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 浮遊性有孔虫 / 形態解析 / 個体群動態 / サイズ分布 / 中新世 / 東赤道太平洋 / 統合国際深海掘削計画 |
研究実績の概要 |
(1)研究対象とした浮遊性有孔虫Paragloborotalia siakensisのサイズ変動について,以下の分析を実施した.これらの分析結果は学会発表で公表した. 1-1.東赤道太平洋IODP Site U1338の16~11Maの年代区間について,約0.05Ma間隔で合計6895試料のサイズ測定を完了し,サイズ分布の変動を明らかにした.Okada and Hayashi (2013)で形態測定された36試料についても,新たに導入されたサイズ測定システムを用いて再計測した.その結果,全体を通じて2回の顕著な大型化層準と2回の小型化層準を認めた.さらに詳しく見ると,Okada and Hayashi (2013)で指摘された約12Ma, 13Ma, 14Maの小型化層準に加え,12.5Maの局所的な小型化層準が認められた.これらのうち,14.0~13.8Ma付近の小型化はMi3イベント(Miller et al., 1991)から若干先行した温暖期に位置しており,海洋環境との関連が示唆される. 1-2.大型個体を含む約11.7Maの試料について,最大個体(364マイクロメートル)と最小個体(154マイクロメートル)のX線CT分析を行った.その結果,最小個体でも顕著な2層構造が認められ,成熟個体と判定された.CT値により殻密度を推定すると,小さい個体では殻が相対的に厚く,殻密度も高くなる傾向が認められた.こうした差異は,個体の成長速度の違いを反映しているものと推定された. 1-3.X線CT撮影を行った個体について薄片観察を行った結果,殻密度分布は殻構造と密接に対応していることが確かめられた. (2)浮遊性有孔虫生層序の高度化を目指す研究として,房総半島上総層群など日本周辺各地の浮遊性有孔虫生層序を分析した.成果は2017年4月に論文投稿し,現在査読中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は大幅に作業を進め,昨年度までの遅れはほぼ挽回した.29年度に成果の取りまとめが充分にできると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
当初予定通り,Site U1337やSite 608での分析を進める.研究内容や方法等の変更は特に行わない.
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次年度使用額が生じた理由 |
残額は論文投稿料として計上した金額(5万円)にほぼ相当している.現時点で投稿料が必要なジャーナルには投稿していない.
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次年度使用額の使用計画 |
29年度はプロジェクトの最終年度にあたり,成果を論文として投稿するために使用する予定である.その他の経費は当初計画通りに使用する.
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