火山岩の自然残留磁化は,プレート運動の定量化,噴火現象の温度など,様々な地球科学的現象に定量的情報を与えるが,流紋岩溶岩の場合,その粘性の高さからしばしば不均一な組織を呈するため,その磁化方向の正確性が阻まれてきたようだ.本研究は,一枚の厚い流紋岩溶岩の自然残留磁化方向の観察を行い,流紋岩が期待される残留磁化方向を記録する能力があるかどうかを検討した.研究の結果,地球磁場方向から期待される残留磁化方向を呈さない流紋岩溶岩が一部に観察され,その一方で多くの流紋岩溶岩試料が期待される方向を呈した.現時点では,この方向の逸脱が流理構造の発達度合に相関している傾向は捉えられていない.
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