研究実績の概要 |
射流堆積物は,洪水や津波など流速が速く薄い流れにおいてよく見られる.本研究は水路実験により形成されたこれらの堆積物の3次元構造をGPR(地中レーダ)を用いて明らかにすることを目的としている.本年度は津波堆積物水路実験のGPR測定を行った.用いた実験堆積物は(一財)電力中央研究所(千葉県我孫子市)により大型造波水路(水路長205m,水路幅3.4m,深さ最大6m)で形成された津波実験堆積物を使用した.堆積物形成に使われた水路部分は長さ84m幅60cm深さ1mで,そこに厚さ約40cmで砂を敷き,汀線(造波ゲートより陸側に40.5m地点)より陸側は勾配1/100の地形が作られ,2016年3月23日に波高80cmの津波による遡上堆積物形成が行われた.その結果,砂丘より陸側に層厚最大約5cmの堆積物が長さ約6mの範囲で認められた.この堆積物に対して,2016年3月23日にアンテナ1.5GHzを用いて水路の長さ方向10m側線間隔5cm(計11側線)でGPR測定を行った.測定分解能は約2cmで津波堆積物の3次元断面が得られた.その結果からは,砂丘が侵食され凹地となり,その後も凹凸を数回繰り返しながら薄層化する様子が捉えられた.これらは射流のサイクリックステップで形成された可能性がある.この結果は電力中央研究所により明らかにされているCT画像(電力中央研究所,2015)とも一致する.電力中央研究所(2015)見学資料「津波堆積物に関する実験見学会」.
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