研究課題
北海道東部,野付湾周辺には,現在も活動的なバリアーシステムが認められており,ここでは野付崎バリアースピット(NBS)と呼ぶことにする.これまでの掘削調査により,上位から7層の完新世テフラ,Ta-a(1739 年)およびKo-c2(1694 年),Ma-b(10 世紀),Ta-c(2.5 cal ka ),Ma-d(4.0 cal ka ),が見いだされ,これらを時間面として,NBSの地形発達史を高精度に解読することが出来た.NBSが現在の位置に成立したのは,茶志骨の泥炭層基底の年代からMa-dを挟む泥炭層の存在から4000年より前と推定される.この時期に発生した初期の砂嘴は既に浸食されて,現地形としては保存されていないが,残された砂嘴の先端の形状からは,現在よりも東方沖に存在していたと推察される. 一方,最も若い砂嘴であるBS1 はTa-a, Ko-c2 に被覆されないことから,17 世紀以降に出現し,現在荒浜岬を形成している.BS1のBHは+0.60-1.00 mにある.BS2 は江戸時代後期(AD1799以降)の通行屋遺跡を載せている.喜楽岬から発しナカシベツ付近からBS1 と分岐し,さらに竜神崎へと連続する.BS2のBHは+1.47mに達している.この浜堤はTa-a, Ko-c2 に直接被覆されることから,17 世紀に離水した可能性が高い.一本松岬から野付埼灯台にかけて連続するBS3 の離水年代はTa-a, Ko-c2と礫浜層との間に薄い泥炭層を挟むことから,12/13 世紀と予測される.BS3のBHは+2.28 mにある.BS4はオンニクルのみに分布する古い砂嘴である.ここには擦文時代の竪穴式住居を載せている.今回の調査の結果,海浜砂礫層を覆う泥炭層からTa-cの挟在と共に2.7-2.3 cal kaのAMS年代値を得た.BS3のBHは+2.66 mにある.
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地質学雑誌
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Proceedings of the International Meeting on Eruptive History and Informatics
巻: 2017-2 ページ: 4-26
号外地球
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GSJ地質ニュース
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