研究課題
本研究は、モンゴルの白亜紀末の地層から発見されているオルニトミモサウルス類デイノケイルス(恐竜類獣脚類)の特異な進化のメカニズムを紐解くのが目的である.「巨大化」「食性」「ディスプレイ」といった3つの視点で,進化メカニズム解明を目指した.「巨大化」に関しては、系統分類をより正確に復元することで挑戦した。デイノケイルスが属するオルニトミモサウルス類の関係の解明であり、私たちはその結果を2017年にScientific Reportsに論文を掲載した。オルニトミモサウルス類は、走行性と巨大化の二つの大きな進化に分かれ、デイノケイルスの祖先系は走行性を失いつつ巨大化へと向かって行ったことがわかった。さらに私たちが2017年のPalaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecologyに掲載した論文では、前肢の爪(末節骨)に多様性を持つことによってオルニトミモサウルス類は大繁栄を収めたが、デイノケイルスは巨大化のため競争相手が少なく爪を特殊化させる必要がなかったと考えられる。「食性」は現在も研究が進められているが、日米の学会ではその成果を発表している。私たちの胃石の解析によると、デイノケイルスは強い植物食性を示し、それが巨大化に大きく関係していることが示された。さらに、胃石の球の度合いを見るとかなり消化活動に使われていたことがわかり、その胃が筋肉質であったこともわかってきた。「ディスプレイ」に関しても、現在研究である。胴椎骨の長い棘突起により形成される背中の「帆」が、スピノサウルスやオウラノサウルスに類似するが、その含気化は顕著である。さらに、神経孔か血管が通る孔の密度も高いことから、ディスプレイだけではなく、体温調節にも役立っていた可能性が高い。巨大化により体温の調整が難しくなるが、この「帆」が調整の役割をしていたのだろう。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 9件)
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