研究実績の概要 |
日本と米国加州の前期白亜紀アンモナイト動物群を研究し,その成果の一部を論文として発表した.助成金は,研究を遂行するための調査旅費に当てられた. 1.高知市の動物群は,「Barremian to Aptian (Lower Cretaceous) ammonite faunas of the Kochi Basin, southwest Japan」の論文で出版された.(1)構成する18種を体系的に記載した.(2)動物群は下部と上部の構成からなり,下部がBarremian期を上部が後期Aptianを示す.(3)構成の3種は,後期Aptian期にフィリピンから高知に海流により移動した. 2.和歌山県有田地域の動物群は,「Barremian ammonites of the Arida Formation, Japan」の論文が印刷中である.(1)構成する10種を体系的に記載し,既記載種を含め,14種が確認された.(2)動物群の構成は上部と最上部では異なる.(3)それらは環北太平洋と西欧南部の動物群にそれぞれ類似し,海流により支配された. 3.長野県戸台層産の動物群を18属20種に分類し,体系的に記載した.(1)中期から後期Aptian初期を示す.(2)動物群は海進に伴い発達し,殻形態の構成は宮古層群のそれと類似する.この論文は執筆中である. 4.米国加州北部Ono地域の下部白亜系から産出したアンモナイト標本のMarshallites属2種を体系的に記載した.(1)Marshallites属はフィリピン,日本,カムチャッカ,アラスカ,カナダ,加州での出現ほど遅くなることを見いだした.(2)この間の種の絶滅と出現は古水塊の温度変化に伴う海進海退によると解釈した.(3)前期白亜紀アンモナイトの幾つかの種は環太平洋地域を西から東へ移動したことを述べた.この論文は現在執筆中である.
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