研究課題/領域番号 |
15K05338
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村上 隆 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00253295)
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研究分担者 |
鈴木 庸平 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00359168)
宇都宮 聡 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40452792)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 大気進化 / 二酸化炭素 / 酸素 / 風化 / 古土壌 |
研究実績の概要 |
後期始生代-初期原生代は地球表層環境の激変が発生した。その時代の大気二酸化炭素、酸素濃度の定量的算定は、それぞれが直接関連している気候変動と海洋進化・生物進化に大きな制約を与えるが、未だに不明である。風化は鉱物-水-大気相互作用であり、風化当時の大気二酸化炭素・酸素濃度を直接反映している。我々は大気二酸化炭素・酸素濃度を正確に記述するため、二酸化炭素-風化モデル、酸素-風化モデルを構築・数式化し、古土壌(当時の風化を受けた岩石)化学組成に適用する。今年度は二酸化炭素-風化モデルを構築・数式化した。大気二酸化炭素濃度は通常、大気モデルにより推定されてきた。二酸化炭素は温室効果ガスであるため直接気候を左右し、後期始生代-初期原生代では暗い太陽と大氷河期が大気モデルの重要な指標となった。ところが、古土壌化学組成から導かれた二酸化炭素濃度は大気モデルのそれより1桁少なく、暗い太陽を避けるため大気モデルに別の温室効果ガスであるメタンが導入された。しかし、この古土壌からの二酸化炭素濃度推定法に重大な間違いがあることを我々は指摘し、古土壌からの二酸化炭素濃度推定法の抜本的訂正を主張した。訂正された手法は以下のようであった。液相中での陽イオンXの運搬方程式を利用して、液相中でのXの濃度と固相(つまり古土壌)中でのXの濃度の関係を求めることができる。当時の大気二酸化炭素濃度は、液相中での正負イオンのバランスから求められる。負イオンは炭酸塩イオンと水酸イオンのみから成るとみなして良いからである。その結果、古土壌化学組成から大気二酸化炭素濃度を算定する方法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね計画通りに進行できたため。
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今後の研究の推進方策 |
モデル計算のためのパラメータの制限をできるだけ加えたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
過マンガン酸カリウム法によるFe(II)の分析を一部行わなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度、試薬などの購入により、Fe(II)の分析を終了する。
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