研究課題/領域番号 |
15K05338
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村上 隆 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 客員共同研究員 (00253295)
|
研究分担者 |
鈴木 庸平 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (00359168)
宇都宮 聡 九州大学, 理学研究院, 准教授 (40452792)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 大気進化 / 酸素 / 風化 / 古土壌 |
研究実績の概要 |
今年度は酸素-風化モデルを構築・数式化し、古土壌データに適用して、25-18億年前の大気酸素濃度変遷を示した。このモデルは、Feの風化帯における挙動からFe(II)/Fe(III)濃度比と大気酸素濃度の関係を正確に計算する。このためには、風化帯中のpH、温度、二酸化炭素分圧、地下水流速、土壌中での酸素の拡散がパラメータとして必要である。pH、温度、二酸化炭素分圧は、昨年度、二酸化炭素-風化モデルの構築・数式化で求めた。地下水流の速度定数は、風化帯でのSi濃度、孔隙率、水の飽和率などが関与し、大きな誤差を含むが風化帯毎に求められることがわかった。土壌中での酸素の拡散は大気酸素とも関係し、拡散定数、Fe(II)の酸化速度、水の飽和率、地下水流速など多くのパラメータが関与する。運搬方程式(溶解、沈殿、拡散、移流)を用い、風化帯中のFe(II)/Fe(III)濃度の時間変化から、Fe(II)/Fe(III)濃度比はFe(II)の酸化と地下水流の速度定数で表すことができるとわかった。モデルを精密化するため、溶存Fe種ごとに酸化速度を計算した。このモデルの妥当性は、Sugimori et al. (2012)による溶存酸素濃度、水流速度をコントロールしたFe(II)の酸化速度実験のデータとよく一致したことで示された。 このモデルを25-18億年前の古土壌化学組成に適用したところ、約24.6、21.5、20.8、18.5億年前の酸素分圧はそれぞれ10の(-7.1)-(-5.4)乗、(-5.0)-(-2.5)乗、(-5.2)-(-1.7)乗、>(-4.6)-(-2.0)乗気圧であった。これは初期原生代に大気酸素が徐々に上昇したことを示している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね計画通りに進行できたため。
|
今後の研究の推進方策 |
風化と大気二酸化炭素の関係をより理論的に考察する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度の成果として、投稿した1編の論文を2編に分けて編集し直すよう、専門誌の編集委員会から指摘があり、2編に書き直し、再提出したが、査読が遅れ、年度を越してしまった。次年度使用額は投稿料に備え保持したため発生した。
|
次年度使用額の使用計画 |
上記の論文は、査読結果を見ると、若干の書き直しを経て、受理されると予想される。次年度使用額は投稿料として使用する計画である。
|