研究課題
海底鉱物資源の一つとして注目される鉄マンガンクラスト中にプラチナ(Pt)が含まれている事が近年明らかになった。研究代表者は、SIMS (ims-1270) を使ってPt分析法を開発した(Morishita & Usui, 2015)。本研究はこの研究を発展させ、鉄マンガンクラストの成長方向に沿ってSIMS(NanoSIMS)分析し、クラストのPt存在形態を解明する。鉄マンガンクラストの主成分は鉄マンガン酸化物である。層状マンガン酸化物の一種である低結晶質のvernaditeは粘土鉱物に類似した構造のため、SIMS分析のために必要な標準試料に適した大きな結晶が得られない。そこで、未知試料と同一組織を持つ鉄マンガンクラストに単位面積あたりの注入原子数を正確にコントロールしたイオンを注入した標準試料を用いた。研究試料は、北大西洋の南鳥島に近い深さ3,000mの海山から採取され先行研究で年代測定を行なった鉄マンガンクラストを用い、成長方向に沿って4分割した。それぞれ100万年、200万年、300万年、400万年前に生成した鉄マンガンクラストの各4試料を最新面が表面となるように深さ方向に2セット(A, B)埋め込み、更にイオン注入Ptビームの同位体組成を求めるためにSiウエファも埋め込み、表面をダイヤモンド研磨した。Aはカナダのタンデム加速器を用いてPtイオンを注入し、標準試料を作成した。それらすべてを NanoSIMSを用いて分析した。イオン注入標準試料で定量値を求めたのちに、Bで鉄マンガンクラストの成長方向への深さ方向Pt分析を行ない、各年代に生成した試料の評価を行った。その結果、年代方向への不均質はほとんど見られず、長および短時間のいずれにおいても安定した沈殿と元素分配が行われていたものと推察された。この成果は海底マンガン鉱床研究会で発表し、論文原稿を準備中である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (3件)
Geochimica et Cosmochimica Acta
巻: 245 ページ: 385~405
10.1016/j.gca.2018.11.015
http://sutv.shizuoka.ac.jp/video/12/94
http://sutv.shizuoka.ac.jp/video/12/95
http://www.sci.shizuoka.ac.jp/%7egeo/staff/Morishita/Morishita.html