研究課題
平成29年度は火山体下で実際におこりうる環境を想定した流紋岩と安山岩の電気伝導度測定をおこなった。測定前後では、試料に含まれる水の厳密な定量評価をしなくては,真の電気伝導度測定値を得ることはできない。その為に、FT-IRを用いて様々な条件での含水率評価をおこなった。又、電気伝導度測定の際には、水を含んだ試料と周囲のカプセル材料との反応性が問題となるため、テスト用の試料を高温・高圧領域で電気伝導度を測定した後、走査型電子顕微鏡で試料およびカプセルの観察をおこなった。具体的には、高温領域まで、火山岩試料と反応性が少ないと推定される、アルミナ、BN、クオーツなど数種類のカプセルで反応性を精査した。又、磁化測定では、一枚の流紋岩溶岩について、採取可能な範囲で可能な限り広域のサンプリングを行い,その残留磁化方向の均一性を観察した。併せて等温残留磁化獲得実験,磁化率異方性の測定,および研磨薄片の観察を行い,溶岩におけるこれらの情報の空間分布と残留磁化方向を比較した。最終年度に得られた成果は2点である。含水率を変化させた流紋岩と安山岩のが溶融する温度以下で、微細な電気伝導度変化が観察された。この微細な電気伝導度変化は粘性から推定されるガラス転移点付近に近いことが判明した。又、本研究に用いた流紋岩は、キュリー温度以下において、複数回の変形運動を経験しても、冷却時の全ての変形運動が終了した後に獲得した磁化成分は地球磁場の方向を正確にとらえている可能性が高いことが判明した。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Physics of the Earth and Planetary Interiors
巻: 267 ページ: 19-30
Journal of Asian Earth Sciences
巻: 134 ページ: 130-149