研究課題/領域番号 |
15K05347
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
糀谷 浩 学習院大学, 理学部, 助教 (60291522)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | グリューナイゼン定数 / 温度依存性 / ラマン分光 / 高圧 / 格子振動 / 非調和性 |
研究実績の概要 |
当初の研究計画の通り、高温下での高圧ラマン分光測定に使用するための試料合成を行った。試料は、Mg2SiO4フォルステライトとMg3Al2Si3O12パイローブであった。フォルステライトは、MgO:SiO2 = 1:1(モル比)の混合物を大気中1500℃で合計86時間加熱して合成した。パイロープについては、、まずMgO:Al2O3:SiO2 = 3:1:3(モル比)の混合物を1700℃で1時間加熱後、常温の水中で急冷することによりMg23A2Si3O12組成のガラスを合成した。次に、6-8マルチアンビル高圧発生装置を用いて出発物質のMg3Al2Si3O12ガラスを5.5 GPa, 1200℃で2時間保持した後、室温まで急激に冷却して結晶構造を凍結してから1気圧に減圧回収した。何れも、粉末X線回折測定により、目的の物質が合成できていることを確認した。特に、Mg3Al2Si3O12パイロープにおいては、走査型電子顕微鏡を用いた組成分析により、陽イオンが目的の化学量比であることも確認した。 また、高温下で高圧ラマン分光測定ができるようにするためのシステムの構築に着手した。ダイアモンドアンビルセルは、高温下での測定に対応させるためにダイアモンドの台座をセラミクス製とした。また、顕微ラマン測定用のステージ上に高温のダイアモンドアンビルセルを載せることができるようにするために、冷却用ホルダーの準備も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
外熱式のダイアモンドアンビル高圧セルを顕微ラマン分光測定装置内で使用する際に、高温になっている高圧セルを顕微ラマンシステムのステージに載せることができるようにする必要があった。このため、高圧セルの冷却用ホルダーも併せた高圧セルの設計段階で予想以上に時間がかかってしまい、加圧装置の導入が遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
まず、約500℃までの高温を安定して上げられるような加熱システムを整える必要がある。その後、すべてのラマンスペクトルの格子振動モードが確実に帰属されているフォルステライトを用いて、例えば100℃~500℃までの100℃置きの一定温度下において、加圧することによるラマンピークのピーク位置のシフト量を測定し、モードグリューナイゼン定数の決定を行う。それらの結果から、それぞれの格子振動モードについて、モードグリューナイゼン定数と熱的グリューナイゼン定数の温度依存性が得られる。そして、フォルステライトの測定・解析が完了した後に、パイローブについて高温下での高圧ラマン分光測定およびグリューナイゼン定数の温度依存性の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
加圧用のダイアモンドアンビルの導入が遅れたことから、まだ加熱システムの構築にまでは至っていなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
加熱用機器の購入に充てる。
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