研究課題/領域番号 |
15K05352
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研究機関 | 北九州市立自然史・歴史博物館 |
研究代表者 |
重野 未来 北九州市立自然史・歴史博物館, 自然史課, 受託研究生 (90749558)
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研究分担者 |
森 康 北九州市立自然史・歴史博物館, 自然史課, 学芸員 (20359475)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 岩石・鉱物・鉱床学 / ヒスイ輝石岩 / 流体包有物 |
研究実績の概要 |
本研究はプレート収束域の、沈み込み帯における物質移動の解明を目指し、蛇紋岩メランジ中の構造岩塊の一種、ヒスイ輝石岩を対象として、その生成時において関わった、地下深部の流体の実体を知ることを目的とする。 今年度迄の研究結果として、日本各地の石英ヒスイ輝石岩およびその曹長岩反応縁、曹長石ヒスイ輝石岩中の流体包有物の内容物、流体包有物の塩濃度の測定結果が得られた。これらの結果の違いが、ヒスイ輝石岩の主な2つの成因(1)流体からの沈殿、(2)原岩の変成・交代作用の違いに結びつくことが明らかになり、ヒスイ輝石岩の2つの成因論を共に説明し得る新たなモデルを考案した。 具体的には、今年度までに高知産ヒスイ輝石岩の入手ができなかったため、計画を変更し、曹長石ヒスイ輝石岩についての試料の選定とデータの拡充を中心に研究を進めた。その結果として、既存試料のうちの糸魚川産曹長石ヒスイ輝石岩2試料を追加した。 糸魚川産曹長石ヒスイ輝石岩2試料と、昨年度から継続して分析を進めている関東産地寄居産石英ヒスイ輝石岩、関東産地下仁田産曹長岩(脈)について、鉱物分析(EDS)、流体包有物の種類の同定(ラマン分析)と塩濃度測定を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定どおりの内容ではないが、室内研究で一定の成果が得られた。また、本研究の結果と、従来のヒスイ輝石岩の主な2つの成因とを結びつける、新たなモデルを考案した。曹長石ヒスイ輝石岩、石英ヒスイ輝石岩、曹長岩(脈)について、地震被害の影響で遅れていた、熊本大学での室内分析を実施した。今年度までに高知産ヒスイ輝石岩を入手できなかったため、計画を変更し、新たに曹長石ヒスイ輝石岩についての試料を追加するため、既存試料から、糸魚川産2試料を選定した。11~1月に中国山地大屋での曹長岩の調査を予定していたが、天候にも恵まれず、実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
5月に開催されるJpGU-AGU Joint Meeitng 2017でポスター発表を行う。石英ヒスイ輝石岩と曹長石ヒスイ輝石岩について、ひととおりの結果が得られたので、遅れている、ヒスイ輝石岩の流体包有物についての論文(英文)の執筆を進める。大屋の曹長岩の野外調査と試料採取をおこない、これについての一連の室内基礎研究(試料の薄片作製、顕微鏡観察、鉱物分析)、流体包有物のラマン分析による内容物の同定と、氷点測定により塩濃度測定を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
高知における野外調査、試料収集ともに現地状況により不可能となった。また、計画変更により、既存試料の中から糸魚川産2試料を選定した。大屋での野外調査を、研究計画の遅れと天候悪化により実施できなかった。論文化の遅れから、英文校閲、論文投稿費用、別刷代などの支出が発生しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
大屋での曹長岩についての野外調査・試料採取を実施する。糸魚川での追加調査を行う可能性がある。論文投稿をおこなうので、英文校閲、論文投稿費用(オープンアクセスあるいは別刷代)として必要となる。
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