研究課題
本研究はプレート収束域の、沈み込み帯における物質移動の解明を目指し、蛇紋岩メランジ中の構造岩塊の一種、ヒスイ輝石岩を対象として、その生成時において関わった、地下深部の流体の実体を知ることを目的とする。平成30年度迄の研究結果として、日本各地の石英ヒスイ輝石岩およびその曹長岩反応縁、曹長石ヒスイ輝石岩中の流体包有物の内容物、流体包有物の塩濃度の測定結果が得られた。これらの結果の違いが、ヒスイ輝石岩の主な2つの成因(1)流体からの沈殿、(2)元岩の変成・交代作用の違いに結びつくことが明らかになり、ヒスイ輝石岩の2つの成因論を共に説明し得る、新たなモデルを考案した。具体的には、神居古潭地域(旭川市)のヒスイ輝石岩、大屋産曹長岩の試料について、新たに分析用試料を作成し、一部は塩濃度測定を試みた。平成29年度迄までに現地住民の調査・試料採取への理解が得られにくいことから研究対象から除外した、高知産ヒスイ輝石岩(オンファス輝石岩)について、岩石試料を購入することができた。しかし、これらの岩石は細粒のため分析に適さないことがわかった。これまでに調査した岩石試料のSEM/EDSによる岩石組織観察・鉱物化学分析を追加で行った。
すべて 2018
すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)