研究課題/領域番号 |
15K05362
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
小川 勇 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 教授 (90214014)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | サブミリ波帯高出力光源 / 周波数の安定化 / 出力・周波数の安定化 |
研究実績の概要 |
サブミリ波領域の高出力光源であるジャイロトロンにおいて,発振周波数と出力電磁波強度を同時に安定化することが本研究の目的である。出力電磁波強度の安定化は,ジャイロトロン出力を調整することなく,ジャイロトロンの外部に置く,系の電磁波透過率を操作する事により実施する。 発振周波数の安定化では,先ずジャイロトロン発振の周波数をヘテロダイン受信系により中間周波信号を得る。次にその中間周波信号をユニバーサルカウンターで測定し,中間周波信号の周波数に比例した信号を得る。その周波数に比例した信号出力が一定になるように,ジャイロトロンのボディ電極の電位を操作するフィードバック制御を行う準備を進めた。 ジャイロトロンの周波数変動が10MHz以下に抑えられている場合には,フィードバック制御が有効になる予想のもとに,周波数の安定化を進めた。チラーにより冷却水温を一定にし,フィードバック制御によるビーム電流の安定化を行ったところ,周波数変動を10MHz以下に押さえることができた。その条件下で,周波数のフィードバック制御を試したところ,フィードバック制御が有効に働くことを確認した。 冷却水温の安定化,ビーム電流の安定化をしない場合には,ジャイロトロン連続動作時の周波数変動は50 MHz程度生じるが,周波数のフィードバック制御により,周波数変動を1 MHz以下にすることができた。現在,周波数の安定化は1時間以上継続できることを確認できている。 出力電磁波強度の安定化では,電磁波透過率を操作する系の製作がほぼ終了した。出力電磁波強度の安定化にも間もなく着手できる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
周波数の安定化で懸念していたことは,ボディ電圧や冷却水温に対する周波数の振る舞いが不連続になる場合があったことである。しかし,実際に周波数の安定化を試みたところ,難なく達成することができた。 今後,出力電磁波強度の安定化に取り組むが,ほぼ準備ができていることと,また,電磁波強度に対して不連続になるような現象はない。何らかの問題が発生したとしても,可能な範囲の手直しで対処できると考えられる。 発振周波数と出力電磁波強度を同時に安定化することについても,両者が絡み合うことが無い手法を採用している為,順調に進められると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ほぼ準備が進んでいる出力電磁波強度の安定化を実施する。その後,発振周波数と出力電磁波強度を同時に安定化する課題を進める。 特に,本研究で採用する手法をジャイロトロンの多くの発振モードに適用して,その有効性を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年度に,ジャイロトロン出力の測定のための検出器を購入したが,安価な新製品を購入できたため,差額が生じた。その差額の多くが次年度に引き継がれたため,次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
発振周波数と発生する電磁波強度の安定化では,当初の予定よりも長時間測定が必要となってきているので,データー記録システムを購入する。また,データーに含まれるノイズを軽減する必要があるので,そのための絶縁アンプ等を購入する。また,ジャイロトロンの多くの発振モードにおいて,発振周波数と出力電磁波強度を同時に安定化するため,微弱な出力の場合にも,出力を検出できる検出器を購入する予定である。
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