1)2段式軽ガス銃を用い、1気圧の窒素で満たされた与圧室内のターゲットに飛翔体を衝突させ、高温ガスプルームを発生させる。与圧室前方から吹き出す微粒子を観測した。直径約20 nmの微粒子が、速さ約2 km/sで噴出する様子を記録することができた。この速さは、流体計算値と合う。 2)飛翔体衝突時の圧力発生、高温発生について、ランキン・ユゴニオの式を用いて計算した。その結果、ターゲット上で約75 GPaの圧力と4600 Kの温度発生が得られた。この計算結果は、発光スペクトルより求めた温度や高速カメラ測定とほぼ一致した。高温ガスプルームは、ターゲットに対し、垂直前方へと吹き出して行く。 3)合成炭素試料をTEM-EDS元素分析した。その結果、炭素ナノ粒子上に有機物が存在し、炭素と窒素原子の分布がほぼ重なることを見出した。これは、窒素を含む有機物が、微粒子上に多く存在することを示している。合成炭素試料をFT-IR分析した。その結果、アミノ酸に特有な窒素や炭素の結合を再現性良く検出した。これもアミノ酸合成の傍証となる。 4)合成試料を純水抽出した後、2次元液体クロマトグラフィー分析した。その結果、アミノ酸光学異性体を測定することができた。常にL型アミノ酸がD型アミノ酸より過剰である結果を得た。予測では、同量のD/L異性体が合成されるはずであるが、異なる結果である。実験条件から考察し、「L型アミノ酸を合成する鋳型分子が存在する可能性がある。」と考ている。 5)ガス銃実験結果より、アミノ酸合成過程を検討した。高温ガスプルーム中でCNなどの活性分子が合成され、冷却過程で、それらの分子の重合が進む。アミノ酸の安定化温度は、約250℃であるので、「炭素ナノ粒子上の活性ラジカルが、表面拡散し、粒子上でアミノ酸が合成を起こしている。」と考えている。 6)これらの実験結果を元に論文を準備している。
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