研究課題
前年度までに,裸眼3Dディスプレイで用いられているインテグラルフォトグラフィの技術を応用し,視線方向が限定された視野から三次元構造を同定する計測方法の開発を行った.特に,微粒子プラズマを対象とした原理検証実験において,従来の微粒子プラズマ実験による結果と矛盾のない値が得られた.今年度は,前年度に開発した微粒子プラズマ計測用インテグラルフォトグラフィシステムの最適化と高精度化を行った.レンズアレイからの光を直接CMOSセンサーに結像させる方式を採用し,計測領域とCMOSセンサのサイズ及び実験条件からレンズアレイの最適なサイズ,個数,焦点距離を決定した.設計した6x9のマイクロレンズアレイを用いて,微粒子の三次元分布が100ミクロン程度の誤差で再構成可能となった.上記の実験に加えて,時間変化が早く視線方向も極めて制限されている逆磁場ピンチプラズマに対して,ヘリカル可視光の計測を行った.赤道面のICF152ポートから3x3の凹レンズアレイと高速カメラを用いて撮影した二次元画像から三次元構造の再構成を行った.その結果,ぼやけた境界を持つ撮影対象に対しては,微粒子プラズマの場合と同様の技法による再構成は自由度が高く,他の拘束条件が必要であることが明らかとなった.周辺磁場とヘリカル可視光像の相関を調べた結果,周辺トロイダル磁場の反転に伴いヘリカル可視光の回転方向が変化することが確認され,回転速度と反転パラメータには明確な依存性が見られたため,再構成の際に拘束条件として有用であると思われる.また,マルチピンホールと軟X線カメラを組み合わせた軟X線三次元計測装置の開発を行った.ピンホールに装着するフィルターを変えることで,逆磁場ピンチプラズマに対して二次元温度分布計測を行い,反転が浅い状態では高温のヘリカル状態が形成されること,及び内部輸送障壁が存在していることを示唆する結果が得られた.
2: おおむね順調に進展している
現在までに,「微粒子プラズマに対するマルチレンズ可視光計測」については当初計画にあった「得られた二次元画像から三次元構造の再構成」は達成され,手法の最適化と高精度化を確立できた.「逆磁場ピンチに対するマルチレンズ可視光計測」については,3x3の凹レンズアレイと高速カメラを用いてヘリカル構造の撮影に成功したが,ぼやけた境界を持つ撮影対象について微粒子プラズマの場合と同様の技法による三次元再構成結果は自由度が大きいと判明した.この実験の過程で周辺磁場とヘリカル可視光像の関係を明らかにすることができた.「マルチピンホールと軟X線カメラを組み合わせた軟X線三次元計測装置の開発」については当初計画通り概ね開発を終えることができた.上記の事柄から,研究計画は順調に進展していると判断する.
「微粒子プラズマに対するマルチレンズ可視光計測」については引き続き実験を進め,三次元構造の時間発展を詳細に計測する.「逆磁場ピンチに対するマルチレンズ可視光計測」については,ぼやけた境界を持つ撮影対象について画像計測結果と周辺磁場揺動及び各種平衡量を拘束条件として三次元構造の再構成を行い,磁気面構造と発光現象との相関を調べる.「マルチピンホールと軟X線カメラを組み合わせた軟X線三次元計測装置の開発」については今年度得られた初期結果を元に計測システムの最適化を進め,種々のパラメータの放電に対して計測を行う事で,ヘリカル構造の遷移現象を計測する.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件) 備考 (1件)
Journal of the Physical Society of Japan
巻: 86 ページ: 063501-1 - 4
10.7566/JPSJ.86.063501
https://www.hyokadb.jim.kit.ac.jp/profile/ja.2f965ca8f50ea3fc94f675f4fcb5670b.html