研究課題/領域番号 |
15K05367
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
樋田 美栄子 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (00273219)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 衝撃波 / 粒子加速 / 不安定性 / 磁気音波 |
研究実績の概要 |
磁化プラズマ中の大振幅磁気流体波の形成と伝播、それに伴う粒子加速を、多次元相対論的電磁粒子シミュレーションを用いて研究している。特に、外部磁場が比較的強い場合に起こる、磁気音波の衝撃波による粒子加速に注目している。磁気音波衝撃波は、様々な機構で粒子を加速するが、本研究では、斜め衝撃波による捕捉電子の超相対論的加速とそれに伴う非線形効果を研究している。これまで、捕捉電子が引き起こすホイッスラー波不安定性とその非線形発展によって衝撃波中で多次元電磁擾乱が大振幅となり、電子の運動に強い影響を及ぼすことが明らかになっていた。平成27年度は、この捕捉電子によって励起される多次元電磁擾乱がイオンの運動に及ぼす影響を調べた。 イオンは衝撃波に出会うと一部のイオンが反射され加速されることが知られている。衝撃波中のイオンの運動について理論解析を行い、多次元電磁擾乱によって、反射されるイオンの数が増加することを予測した。次に、空間2次元速度3次元の相対論的電磁粒子シミュレーションと多次元擾乱を除いた電磁場中のテスト粒子の軌道計算を用いて、この理論予測が正しいことを確かめた。また、衝撃波の伝播速度が速くなるほど、多次元電磁擾乱の振幅が大きくなり、イオン反射に及ぼす寄与が増大することを示した。この成果をまとめた論文1編(査読あり)を、学術雑誌に発表した。 さらに、平成28年度は電子とイオンの他に陽電子を含むプラズマについてのシミュレーション研究を予定しているため、その準備として、3成分プラズマにおける非線形磁気音波中の磁場に平行方向の電場について理論解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の第一目標は、斜め衝撃波中の捕捉電子がイオンの運動に及ぼす効果を明らかにすることであった。理論解析と相対論的電磁粒子シミュレーション、さらにテスト粒子計算を組み合わせて、捕捉電子が励起する多次元電磁擾乱によってイオンの加速が促進されることを明らかにし、その成果を学術雑誌に発表した。これにより、第一目標は達成できた。 また、平成27年度の途中で、核融合科学研究所のスーパーコンピュータが更新されたため、それに対応するようシミュレーションコードを改良した。より大規模の計算を高速で行うことが可能になったため、次年度以降の研究の加速が期待できる。電子・イオン・陽電子からなるプラズマ中の粒子加速についてのシミュレーション研究を予定しているが、その基礎となる非線形磁気音波中の電磁場に関する理論解析も行った。以上のことより、平成27年度の研究は、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度以降は、電子とイオンに加えて陽電子が存在するプラズマに研究を拡張する。そのようなプラズマは、例えば、パルサー磁気圏などに存在すると考えられている。本研究では、このようなプラズマ中の無衝突衝撃波の構造形成と粒子加速を、非線形理論と多次元相対論的電磁粒子シミュレーションで解析する。特に、斜め衝撃波中に形成される磁場に平行方向の電場の効果に注目する。外部磁場が強くなると平行電場が強くなること、平行電場によって陽電子が強く加速されること等が、理論と空間1次元の電磁粒子シミュレーションで示されている。平成27年度に、平行電場の非線形理論を陽電子を含む場合に拡張したが、それを参考にしながら、空間2次元・速度3次元の相対論的電磁粒子シミュレーションで、衝撃波の平行電場による陽電子加速を検証する。衝撃波によって、電子とイオンも別々の機構で加速されるが、それらの加速粒子が引き起こす不安定性とその非線形発展によって、平行電場がどのような影響を受けるのか、またその結果、陽電子の加速効率がどのように変化するかを明らかにすることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、核融合研究所のスーパーコンピュータであるプラズマシミュレータが更新されたため、コードの移植のための時間を要した。シミュレーションの実行数が、予定していたものより少なく、シミュレーションデータを保存するためのハードディスクを購入する必要が無かったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、多くのパラメータについてのシミュレーションを実行するため、そのデータを保存するためのハードディスクなどを購入する。
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