本研究は超高強度レーザーとプラズマの相互作用、相互作用で発生する高速電子・高速イオンの爆縮、プラズマ中の輸送及び加熱特性を調べることで、高速点火レーザー核融合における加熱効率向上を目指すことを主目的に、プラズマ流体、高速電子ガイド用の磁場、超高強度レーザー導入用に金コーンターゲットを用いることによるプリプラズマ発生など関連する物理をシミュレートするコード開発を目指してきた。
本研究は本年度が最終年度にあたる。これまで2次元の爆縮流体コードを完成させ、レーザー照射不均一を考慮した爆縮コア生成をシミュレートし、爆縮プラズマと超高強度レーザーとの相互作用を連携して計算することを可能にした。また、金コーンターゲット内部への磁場の拡散を計算するため、金の導電率を計算して開発した2次元軸対象磁場拡散計算コードに適用し、磁場拡散の時間発展を計算した。
外部磁場が時間的に変化するため、金コーンにうず電流が発生し、金コーンが加熱され、プリプラズマが発生することなど新たな知見を得た。また、金コーン内部の磁場強度はうず電流による磁場で、大きく低下させられる可能性があることがわかった。これは金コーンや、発生させる磁場特性に対し、設計上の制限を与える。これにより、初期にターゲット内部に存在する磁場、プレプラズマを考慮した超高強度レーザーによる爆縮コア加熱計算を可能とした。これらの成果に基づき、引き続き導電率の計算精度、統合加熱計算を実施する。
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