2007年の米国のグループにより,ある種のアニオンを有するイオン液体では分子間振動スペクトルが温度に依存しないという,液体には決して見られない驚くべき現象が報告された。本研究課題では,その検証とその原因を分子レベルで理解するために,フェムト秒ラマン誘起カー効果分光装置で種々のイオン液体の分子間振動の温度依存性を検討した。20種以上のイオン液体を調べた結果,米国のグループの結果を再現できず,どのようなイオン液体を用いても分子間振動は温度に依存することが明らかになった。また,芳香族カチオン系イオン液体と非芳香族性イオン液体では,温度の変調により分子間振動バンドの変化の仕方が異なることを見出した。
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