研究課題/領域番号 |
15K05384
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
三浦 智明 新潟大学, 自然科学系, 助教 (80582204)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 光誘起電子移動 / 非イオン性二分子膜 / 磁場効果 / スピンダイナミクス / 過渡吸収 |
研究実績の概要 |
非イオン性二分子膜界面における光誘起電子移動反応によって生じるラジカル対に対する巨大磁場効果機構について詳細な検討を行うため、磁場効果の精密測定、過渡吸収の高波長分解測定、および偏光解消実験を行う。そこで本年度は、過渡吸収測定装置の高感度化を行った。プローブ光源として、楕円ミラー集光型の75W高輝度キセノンランプを導入し、従来の150Wキセノンランプと比較して数倍の光量を得ることができた。さらに、フラーレン等を含めた幅広いドナー‐アクセプター系に対応すべく、InGaAsフォトダイオードを用いた近赤外領域の高感度化も行った。適切な低雑音増幅器を組み合わせることにより、900~1200 nmで1 mOD程度、Xeランプの輝線波長では0.1 mOD程度の高感度を得ることができた。 一方、可視領域では光電子増倍管の飽和のため、プローブ光源の高輝度化の恩恵を受けることができなかった。今後はより大光量に対応できるシリコンフォトダイオードを用いて可視光領域の高感度化を行うとともに、偏光解消実験に向けた光学系導入を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
10月からの研究開始となり、急きょ光源装置の導入を行った。納品が3月にずれ込んだことから、当初予定していた可視光領域の高感度化および偏光解消システム導入までは間に合わなかったが、近赤外領域での高感度化に成功した。ここからシリコンフォトダイオードを用いた高感度化は成功が見込まれ、偏光解消等の測定に移行することが可能となると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
シリコンフォトダイオードを用いた可視光領域の過渡吸収高感度化、および偏光解消実験に向けた光学系の導入を行い、Niosome電子移動系の巨大磁場効果機構を支配する分子運動に関して、基底状態、励起状態における定量的議論を行う。さらに共同研究者とマルチバンドEPR測定を行い、ラジカル対状態における分子運動に関する定量的議論を行う。さらに電子移動媒体であるNiosome溶液の誘電緩和測定を検討し、媒体の分子運動を明らかにする。以上の多角的検討から、巨大磁場効果発現機構の詳細な解明をおこない、Niosomeを用いた光誘起電子移動系の材料化へ向けた指針を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
10月から研究開始となり、当初の予定より装置等の導入スケジュールが遅れた。光源装置の納入は3月に行われたが会計処理上次年度扱いとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度導入予定であった、偏光解消実験に向けた装置導入および、当初本年度導入予定の装置類を購入する予定である。
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