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2017 年度 実績報告書

光異性化反応の超高速光電子イメージング

研究課題

研究課題/領域番号 15K05388
研究機関京都大学

研究代表者

堀尾 琢哉  京都大学, 理学研究科, 助教 (40443022)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード超高速分光 / 光電子分光 / 真空紫外パルス / イメージング / 化学動力学
研究実績の概要

本研究は、筆者らが独自開発した真空紫外極短パルス(中心波長159および133nm)を時間分解光電子イメージング法に適用することで、気相孤立分子の光異性化反応をリアルタイムに観測することが目的である。最終年度は、二硫化炭素(CS2)のS3電子状態から起こる高速光解離反応の研究を行った。分子内で化学結合がダイナミックに変化するという観点から、光解離反応は光異性化反応と類似しており、本実験手法の有用性を光解離反応について示すことが、当該研究課題を推進していく上で重要であると判断した。ここではまず、133nmの真空紫外極短パルスを用いた光イオン化により、同光解離反応のリアルタイム観測を試み、解離生成物の一つであるS(1D)が生じるダイナミックスを追跡することに成功した(正確には、133nmがS(1D)の自動イオン化状態に共鳴しており、その自動イオン化で生じた電子を検出した)。その結果、S3状態生成後、約400fs後にS(1D)原子が生成し始めるという実験事実を突き止めた。S3状態におけるCS2の反対称伸縮振動の周期が21fsであり、その時間スケールに比べ、CS結合解離の時間(400fs)は非常に長い。このことは、S(1D)原子がS3状態から直接生成するのでは無く、S3状態が他の電子状態へ内部転換し、その状態からS(1D)原子が生じるという電子的前期解離反応が起こっていることを示唆している。以上の研究成果を、米国物理学協会の化学物理系専門誌J. Chem. Phys.にて誌上発表した。その後、さらに研究を推し進め、S3状態生成直後における核波束運動のリアルタイム観測に挑戦した。ここでは、133nmによる光イオン化でCS2の三つのイオン化終状態が観測され、得られた光電子スペクトルの時間変化が前例の無いほどに複雑なものであった。現在、さらなる解析を進めている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Real-time detection of S(1D2) photofragments produced from the 1B2(1Σu+) state of CS2 by vacuum ultraviolet photoelectron imaging using 133 nm probe pulses2017

    • 著者名/発表者名
      Takuya Horio, Roman Spesyvtsev, Yu Furumido, Toshinori Suzuki
    • 雑誌名

      The Journal of Chemical Physics

      巻: 147 ページ: 013932

    • DOI

      doi.org/10.1063/1.4982219

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Ultrafast VUV photoionization imaging spectroscopy of the dissociation dynamics of CS2 from C(1B2) state2017

    • 著者名/発表者名
      Takuya Horio, Toshinori Suzuki
    • 学会等名
      The 33rd Symposium on Chemical Kinetics and Dynamics
    • 国際学会
  • [学会発表] Full observation of cascaded radiationless transitions from S2(pp*) state of pyrazine by ultrafast VUV photoelectron imaging2017

    • 著者名/発表者名
      Takuya Horio, Toshinori Suzuki
    • 学会等名
      The 34th International Symposium on Free Radicals
    • 国際学会
  • [学会発表] 二硫化炭素S3(1B2)状態からの高速前期解離過程の研究2017

    • 著者名/発表者名
      Takuya Horio, Toshinori Suzuki
    • 学会等名
      分子科学討論会2017
  • [備考] 京都大学大学院理学研究科化学専攻物理化学研究室ホームページ

    • URL

      http://kuchem.kyoto-u.ac.jp/bukka/

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公開日: 2018-12-17  

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