• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

赤外二重共鳴法によるCH5+分子イオンの分光的解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K05391
研究機関岡山大学

研究代表者

唐 健  岡山大学, グローバル人材育成院, 教授 (40379706)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードCH5+ / 振動回転スペクトル
研究実績の概要

CH5+は質量分析でよく知られている非古典的カルボンカチオンで、木星のタイタン衛星の上層大気で主な分子イオン種として検出されている。CH5+の星間空間での検出が期待され、宇宙に多量存在するCH4の生成機構の解明に繋げることは考えられる。しかし、CH5+の振動回転スペクトルは複雑な水素のスクランブル運動が存在するため、多くの実験的および理論的な努力が行なわれたにもかかわらずに、長い間帰属できないままの状態になっている。このことは星間空間での検出等に対して主要な障碍になっている。本研究ではCH5+の赤外-赤外二重共鳴分光を行うことによって、基底振動状態および励起振動状態のスクランブル運動を含む回転準位の構造を探り、帰属を行い、その謎の振動回転スペクトルを解明することを目的とする。

パルス赤外レーザーと連続波赤外レーザーの二重共鳴吸収分光はまだ例のない手法であり、波長幅の広いパルス赤外レーザー(ポンプ光)と線幅の狭い(数MHz)連続波赤外レーザー(プローブ光)を用いることで、CH5+の混雑なスクランブル運動を含む振動回転スペクトルに共通な準位に関係する遷移を見出せ、高感度な変調法で吸収信号の変化をモニターすることもできる。前年度に続いて、連続波赤外レーザーとパルス超音速ビームとの組み合わせの分光的観測は感度が上げらた。

これらに関連した成果として、H2F+とH2Cl+イオンの実験室研究によって、星間空間でH2F+イオンの検出を探った。さらに、NO3ラジカルの振動回転スペクトルの解析を行って、新たなバンドの分子定数を解明した。これらの成果は国内外の学会で発表し、論文が専門誌に掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

CH5+の赤外スペクトルを二重共鳴で行うために、パルス赤外OPOレーザーと連続波赤外OPOレーザーは同時に使用する必要がある。前年度の最後にパルス赤外OPOレーザーのポンプレーザーは故障の状態から回復させた。しかし、連続波赤外OPOレーザーは新しいOPO結晶の購入によって、広い波長範囲をカバーできるようになったが、CH5+の赤外スペクトルに必要な波長範囲は依然発振できていない。

現在調べられる波長範囲はCH5+の弱い赤外スペクトル線しか存在しないことで、二重共鳴の実験はまだ厳しい状況であり、CH5+の二重共鳴分光観測は難航になっている。

今後の研究の推進方策

今後、連続波赤外OPOレーザーについてCH5+の強い赤外スペクトル線の波長範囲に発振できるように努力し、状況によって別のOPO結晶の購入も検討する。同時に、パルス赤外OPOレーザ―でもCH5+の赤外スペクトルの観測に試み。

もしCH5+の二重共鳴分光観測は成功できないなら、ほかの分子に対してまずこの手法を成功させ、次の段階に進めることを全力努める。

次年度使用額が生じた理由

細かい額で使いにくいため

次年度使用額の使用計画

今年度に合わせて実験部品を購入する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Infrared spectroscopy of 2v4 and v3 + 2v4 bands of the NO3 radical2017

    • 著者名/発表者名
      K. Kawaguchi, T. Narahara, R. Fujimori, J. Tang, T. Ishiwata
    • 雑誌名

      J. Mol. Spectrosc.

      巻: 334 ページ: 10-21

    • DOI

      dx.doi.org/10.1016/j.jms.2017.02.008

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Detection of HF Toward PKS 1830-211, Search for Interstellar H2F+, and Laboratory Study of H2F+ and H2Cl+ Dissociative Recombination2016

    • 著者名/発表者名
      K. Kawaguchi, S. Muller, J. H. Black, T. Amano, F. Matsushima, R. Fujimori, Y. Okabayahsi, H. Nagahiro, Y. Miyamoto and J. Tang
    • 雑誌名

      Astrophys. J.

      巻: 822 ページ: 115-123

    • DOI

      10.3847/0004-637X/822/2/115

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] キャビティリングダウン分光法によるNH2可視スペクトルの研究2016

    • 著者名/発表者名
      赤塚貴宏,川口建太郎,唐健
    • 学会等名
      第10回分子科学討論会
    • 発表場所
      神戸ファッションマート
    • 年月日
      2016-09-13 – 2016-09-15
  • [学会発表] NO3ラジカルv3=1,v4=2状態(1927cm-1)の摂動解析2016

    • 著者名/発表者名
      川口建太郎,楢原達朗,藤森隆彰,唐健,石渡孝
    • 学会等名
      第10回分子科学討論会
    • 発表場所
      神戸ファッションマート
    • 年月日
      2016-09-13 – 2016-09-15
  • [学会発表] 時間分解赤外分光を用いたKrDの観測と解析2016

    • 著者名/発表者名
      西口和宏,Deo Mukul,唐健,川口建太郎
    • 学会等名
      第10回分子科学討論会
    • 発表場所
      神戸ファッションマート
    • 年月日
      2016-09-13 – 2016-09-15
  • [学会発表] Study of infrared emission spectroscopy for the B1Δg-A1Πu and B′1Σg+-A1Πu system of C22016

    • 著者名/発表者名
      J. Tang, W. Chen, K. Kawaguchi, and P. F. Bernath
    • 学会等名
      71st International Symposium on Molecular Spectroscopy
    • 発表場所
      University of Illinois at Urbana-Champaign, USA
    • 年月日
      2016-06-20 – 2016-06-24
    • 国際学会
  • [学会発表] NO3ラジカルの振動波数と強度のパッケージによる計算2016

    • 著者名/発表者名
      唐健, 川口建太郎
    • 学会等名
      第16回分子分光研究会
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      2016-05-13 – 2016-05-14

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi