溶液内擬縮退系の化学現象を解明する手法を提供するため,大規模分子の複雑な電子状態計算を念頭に置いた多配置理論の開発,溶液内擬縮退系のための積分方程式理論の開発を行い,これらを総合して用いることにより,生体系や金属系などの溶液中の化学現象に適用した。主な項目は,多参照摂動法の効率的な近似形式,擬縮退摂動論に基づく相対論2成分法の定式化,水溶液中の銅水和錯体の配位構造と励起スペクトル,混合液中のブルッカーメロシアニンのソルバトクロミズムと選択的溶媒和,単糖類とカルボキシベンゼンボロン酸の錯体形成,CBM36の炭水化物結合のイオン依存性,プルシアンブルーナノ粒子のサイズ依存吸着サイト等である。
|