本研究では,局所的に分子が動きやすい「ゆるく分子が束縛されたシステム」における分子運動と相挙動の関係をTHz分光測定および熱容量測定を用いて調べた.[Li+@C60](PF6-)結晶では,室温でLi+イオンがC60分子内部で周回運動すること,100 K以下でLi+イオンが2か所に局在化して振動運動をすること,20 K以下ではLi+イオンの位置が反強誘電的に長距離秩序化して相転移が誘起されることを確認した.一方,H2O@C60結晶では,H2O分子が10 K以下でも量子力学的に回転していることを明らかにした.
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