本研究では、フェムト秒X線レーザーパルスを用いて液体中の微粒子の構造解析を行い、微粒子の構造と機能の関係を解明することを目指す。今回の研究期間内においては、X線自由電子レーザー(XFEL)のフェムト秒パルスで微粒子のスナップショットを大量に記録し、粒子の構造解析を行う手法を開発する。 平成27年度には、液体試料を微小液滴としてXFEL照射位置に導入する手法を開発し、既存の回折実験装置を利用して構造解析の試行実験をXFEL施設SACLAにおいて実施した。 平成28年度には、試料導入の安定性を向上させるとともに、試料消費量を削減するために液滴式試料導入装置の改良を行った。さらに、光学レーザーと組み合わせた動的構造解析用の測定システムを構築し、試験実験を実施した。 平成29年度には、動的構造解析システムの安定性を向上させ、構造の時間発展を原子レベルで捉える実験を実施した。光学レーザーと組み合わせたポンププローブ測定により、光刺激によって誘起される蛋白質の構造変化を観測することができた。さらに、SACLAの特徴を最大限に活かしたフェムト秒領域の時間分解計測を行うため、フェムト秒光学レーザーと組み合わせたポンププローブ測定システムを構築した。このシステムを用い、蛍光蛋白質の動的構造解析実験を行った。 今後は、試料の機能解析を進めるため、レーザー分光法との同時測定システムの開発を行う。機能を発現している粒子をプローブするためのレーザー分光法と組み合わせることで、構造と機能の相関を明らかにすることができる。さらに、金属微粒子、生体試料、有機物高分子、各種コロイド試料など様々な機能性物質を対象とした方法論へと一般化させる。
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