研究実績の概要 |
(1) これまで,カルバゾールの1,8位にエチニルカルバゾール部位を導入した非環状ホスト化合物を合成し,TENF等のアクセプター分子との錯形成挙動について明らかにしてきた。今年度は,フェノチアジンの1,9位にエチニルカルバゾール部位やエチニルアントラセン部位を導入した非環状ホスト化合物を新たに合成し,TENF等との錯形成挙動を1H NMRやUV-Visスペクトルにより検討し,プラットフォーム部位の違いが錯形成能に及ぼす効果を明らかにした。プラットフォームにフェノチアジンを用いることにより,錯形成能は著しく低下した。 (2) 先にジベンゾフランの2,8位または3,7位をジシロキサンあるいはジシランで架橋したシクロファンを合成し,その光物性を明らかにした。今年度は,新たな芳香環としてフェノチアジンの3,7位をジシロキサンあるいはエーテル鎖で架橋したシクロファンを合成し,その光物理的性質や電気化学的性質を明らかにした。シクロファンの吸収スペクトルにおいては比較化合物より長波長シフトし,また電気化学的測定において2段階の酸化波が観測され,フェノチアジン同士の渡環相互作用の関与が明らかとなった。 (3) カルバゾールの1,8位,2,7位,3,6位にピリミジンが2位,4位,5位で置換した化合物(合計9種類)を系統的に合成し,その光物理的性質や電気化学的性質を検討した。それにより,カルバゾールの置換位置やピリミジンの置換位置が諸物性に与える効果を明らかにした。カルバゾールの2,7位にピリミジンが4位で置換した場合に,HOMO-LUMOギャップが最も小さくなることが分かった。 (4) ピリミジンの4,6位にフェノチアジンが置換した化合物を合成し,その光物理的性質や電気化学的性質を検討し,ピリミジンの4,6位にカルバゾールが置換した化合物との違いを明らかにした。
|