研究実績の概要 |
既に申請者らは新規三脚型四座配位子-Si(C6H4-2-YR)3 (Y = S, CH2S (mS); R = i-Pr, t-Bu) を有する種々の遷移金属錯体の合成に成功している。 本年度は,すでに合成に成功しているSimS3型配位子を有するイリジウム錯体[IrHCl(L)](1), [IrH(OH2)(L)]X ((2): X = BF4, (3): X = ClO4) (L = Si(C6H4-2-CH2S-i-Pr)3)の触媒活性について検討を行ったところ,いずれの錯体もフェニルアセチレンのHSiMe2Ph, HSiMePh2, HSiEt3を用いたヒドロシリル化反応の触媒として働き,対応するZ-アルケン,Z-PhHC=CHSiR3 (4) が90%以上の高い選択性で得られることが明らかになった。特に錯体 (2) を用いた場合にはいずれのシランを用いた場合でも99%以上の選択性でZ-アルケン (4) が得られた。これまでにもフェニルアセチレンのヒドロシリル化反応において選択的にZ-アルケンが生成する例は報告されているが,99%以上の選択性でZ-アルケンが生成する系は限られており,この結果は極めて興味深い。 また,すでに合成に成功しているSiS3型配位子を有する白金錯体[PtCl(L)] (L = Si(C6H4-2-SR)3; (5a): R = i-Pr, (5b): R = t-Bu)がSi-H結合を活性化し,HSiMe2Ph, HSiMePh2とH2Oとからジシロキサンを生成する反応及びHSiMe2PhとEtOHとからPhMe2SiOEtを生成する反応の触媒として働くことを明らかにした。
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