研究実績の概要 |
種々の末端アルキンにnBuLiを作用させてアセチリド塩を調整し、ホルムアルデヒドに付加させて、種々の対応するプロパルギルアルコールを合成した。続いて、これらプロパルギルアルコールをtBuONa存在下で種々のジアリールヨードニウム塩でO-アリール化し、生じたO-アリールプロパルギルエーテルをBF3存在下でNIS(N-iodosuccinimide)を作用させて、Friedel-Crafts反応様式のヨード環化反応による6員環状エーテルである3-ヨードクロメン(3-iodochromene)の1工程合成(ワンポット合成)を検討した。その結果、種々のプロパルギルアルコールから対応する3-ヨードクロメンを、金属類を用いないで、高収率且つ1工程で得られることを見出した。さらに、得られた3-ヨードクロメンを亜鉛でヨウ素を還元してクロメンに、三酸化クロムやDDQ(2,3-dichloro-5,6-dicyano-1,4-benzoquinone)で酸化してクマリンに、パラジウム触媒存在下のカップリング反応を行うことにより、ヨウ素を芳香環あるいはアルキン鎖に効率的に置換できることも見出した。これらクロメンやクマリンは多くの天然物や生理活性物質の骨格に見られる化合物であり、本法は、これらの環境負荷削減した効率的合成法としての利用が期待できる。なお、本法はグラムスケールの合成にも適用できることを確立した。これらの成果は2016年3月の日本化学会春季年会で発表するとともに、アメリカ化学会誌からも発表した。
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