研究課題/領域番号 |
15K05418
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
東郷 秀雄 千葉大学, 大学院理学研究科, 教授 (60217461)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | N-(プロパルギル)トシルアミド / ジアリールヨードニウム塩 / キノリン誘導体 / ヨード環化反応 / NIS / N-アリール化反応 |
研究実績の概要 |
キノリン誘導体には、多くの生物活性あるいは薬理活性の化合物がある。そこで、プロパルギルアルコールのヒドロキシ基をN-トシルアミドに置換した誘導体を合成した。次に、得られたN-(プロパルギル)トシルアミドに塩基存在下でジフェニルヨードニウム塩を作用させることにより、N-(プロパルギル)-N-(フェニル)トシルアミドを形成させ、続いてNIS (N-iodosuccinimide)とBF3を用いたヨード環化反応により、4-フェニル-3-ヨードキノリンが1工程で得られることを見出した。これを基に、種々のN-(3-アリールプロパルギル)トシルアミド、あるいはN-(3-アルキルプロパルギル)トシルアミドと、種々のジアリールヨードニウム塩を用いて同様の反応を行なったところ、対応する種々の4-アリール-3-ヨードキノリン誘導体や4-アルキル-3-ヨードキノリン誘導体を高収率且つ1工程で得られることが分かった。また、得られた4-フェニル-3-ヨードキノリンを亜鉛で還元すると4-フェニルキノリンが得られ、4-フェニル-3-ヨードキノリンに過酸化物とエーテルを作用させると、キノリン骨格の2-位にエーテル鎖を導入したキノリン誘導体が得られた。さらに、4-フェニル-3-ヨードキノリンに、パラジウム触媒存在下で末端アルキンや末端アルケンを作用させると、キノリン骨格の3-位にアルキニル鎖やアルケニル鎖を容易に導入できることが分かった。つまり、本手法を用いることにより、N-(3-アリールプロパルギル)トシルアミド、あるいはN-(3-アルキルプロパルギル)トシルアミドから、種々の4-アリールキノリン誘導体あるいは4-アルキルキノリン誘導体を効率的に得られることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
種々のN-(プロパルギル)トシルアミドとジアリールヨードニウム塩の反応、続くNIS (N-iodosuccinimide)とBF3を用いたヨード環化反応により、キノリン誘導体の効率的1工程合成法が確立でき、これらの成果を3月開催の日本化学会春季年会で発表した。さらに、これらの成果は論文として学術誌へ5月に投稿予定であり、8月開催の日本プロセス化学会シンポジウムでも発表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
多くのイソキノリン誘導体には生物活性、あるいは薬理活性の化合物がある。そこで、今後はアルキニル(フェニル)ヨードニウム塩の合成法を確立し、これを用いてN-(ベンジル)トシルアミドを塩基存在下でN-アルキニル化したN-(アルキニル)-N-(ベンジル)トシルアミドに誘導し、続いてNIS (N-iodosuccinimide)とBF3を用いたヨード環化反応により、4-アリール-3-ヨードイソキノリン誘導体の効率的1工程合成法を確立する。
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