研究課題/領域番号 |
15K05419
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
鈴木 優章 島根大学, 総合理工学研究科, 講師 (90506891)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ポルフィリン / ポルフィリノイド / 芳香族性 / 三次元π共役 |
研究実績の概要 |
三次元π電子化合物を合成する目的で、テトラベンゾポルフィリンのmeso-位にトリフルオロメチル基を導入し、その立体反発によって非平面化させる試みを行った。これまでに確立させてきたように、ジピロメタンを大過剰のトリフルオロ酢酸で処理する手法で、テトラブタノポルフィリンのmeso-位に1~2個、cis-およびtrans-配置でトリフルオロメチル基を導入できた。これに種々の金属イオンを挿入した後、DDQ存在下加熱処理することで側鎖が酸化され、meso-トリフルオロメチル置換テトラベンゾポルフィリンへ類と変換できることを見出した。そのうちcis-二置換銅およびニッケル錯体のX線結晶構造解析に成功し、分子全体が大きくゆがんだ構造であることがわかった。芳香族化合物の非平面化は溶解性の向上にも寄与するが、一連のテトラベンゾポルフィリン類は、著しく溶解性の低い無置換テトラベンゾポルフィリンと比較すると、若干ではあるが改善していた。一方、上記の酸化法が有用であることにエンカレッジされ、シクロペンタン環とシクロヘプタン環をそれぞれスピロ縮合させたポルホジメタンを合成し、同様にDDQで加熱処理した。プロトンNMRスペクトルにおいて、シクロアルカン環に帰属される脂肪族領域のシグナルと、これまでピロール誘導体に帰属される領域に観測されていたシグナルが消失し、芳香族領域のシグナルが増加した。これは各シクロアルカン環が酸化されたことでポルホジメタン環と相互作用できるようになったこと、すなわち分子全体にπ電子の非局在化が起こっていることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで実現困難だと考えていたものを進行させるブレークスルーが見出された。
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今後の研究の推進方策 |
タイトルの研究を完結させられるよう、また次なるテーマにつながる知見をより多く得られるよう、同様の方針で実験を加速させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
出張費が予定より安く済んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品の品質を向上させる。
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