グフェンの研究は,主として理論・物性の観点から研究が推進されているが,有機化学及び超分子化学の観点からグラフェンを扱う研究は殆どなされていない。これはグラフェンが有機溶媒に不溶であることが一つの原因である。そのため,グラフェンと有機化合物を有機溶媒中で反応させることが困難である。しかし,グラフェンの表面あるいは外周部分に有機置換基を導入することができれば,グラフェンの持つ電子物性・光学特性に摂動を与えることができるばかりか,グラフェンにはない新しい機能性を付与することが可能である。 外周部分に反応活性な三重結合を多数導入したナノグラフェン(GQD-1)を用いることで様々な機能性有機化合物を外周部分に導入することができる。本研究ではこのGQD-1を用い,ナノグフェンのポリマー化と発光性有機化合物の導入による発光特性への影響について検討を行い,以下の成果を得た。 1.導入した置換基の種類を変えることでポリマー化とゲル化能の制御を行なった。その結果,導入した置換基によりゲル化能が大きく変化することがわかった。この結果は,ナノグラフェンを基盤とするポリマー開発に役立つものである。 2.ナノグラフェンの分割を行い、ナノグラフェンの発光の起原に関する検討を行った。その結果,発光挙動の違いは主としてナノグラフェンのサイズの違いに起因している可能性が高いことが判明した。 3.これまでの研究をまとめ、学術論文の執筆および投稿を行った。
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