研究課題/領域番号 |
15K05432
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
谷 文都 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (80281195)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ポルフィリン / フラーレン / 色素増感型太陽電池 / 酸化チタン / ピリジル / 電子注入 / 光誘起電子移動 |
研究実績の概要 |
ピリジル基を有する環状ポルフィリン二量体とその二量体がフラーレンC60を包接した複合体を透明電極上の酸化チタン薄膜に固定化した色素増感型太陽電池の特性を評価した。ピリジル基によって、二量体は高密度(2.0×10の17乗モル/平方センチメートル)に酸化チタン表面に固定化され、この密度は従来のピリジル基含有色素を大きく凌駕するものであり、二量体がピリジル基を4個有する分子構造に基づく相乗効果が発揮されているからと考えられる。FT-IRによる解析では、ピリジル基は酸化チタン表面上のブロンステッド酸サイトと水素結合していると推測される。光電変換特性の評価では、フェノチアジンで架橋した二量体の方が、ジアセチレン架橋二量体よりも優れていた。また、二量体単独とフラーレンとの複合体を比較すると、いずれの二量体においても、二量体単独の方が複合体よりも光電変換特性が優れていた。複合体の場合、ポルフィリンとフラーレンとの間で光誘起電子移動およびその逆電子移動が起きるため、ポルフィリンから酸化チタンへの電子注入の効率が低下するからと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自己集合を実現させるために導入したピリジル基が酸化チタンへの固定化基としても非常に有効に機能するという新たな利点を見いだすことができ、さらに色素増感型太陽電池の作成、特性評価にまで発展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ピリジル基を有する環状ポルフィリン二量体という分子デザインの有用性や機能性をさらに拡張するための研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費については、当初の計画よりスムーズに研究が進んだことおよび試薬や溶媒の節約に努めたことにより、使用額が少なくなった。旅費については、外部での研究打ち合わせを電話やメールで済ませることにより、節約できた。
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次年度使用額の使用計画 |
新しく分子設計した化合物の合成のための試薬や機能解析のための測定用器具の購入および外部での測定実験のための旅費に使用する予定である。学会発表のための旅費にも使用する。
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