研究実績の概要 |
本年度の研究により,アセトアルデヒドアンモニアトリマーを用いたC3対称型三脚アミンの新規簡便合成法を開発した。これによって得られたいくつかのキノリン誘導体について金属錯体の蛍光スペクトルのスクリーニングを行ったところ,8-MeOTQAの亜鉛錯体が極めて高い量子収率を有することを見いだした。この理由は,亜鉛錯体の結晶構造を精査することにより明らかにされた。 チオエーテル連結鎖を有するビスキノリン誘導体(BQET, 6-MeOBQET, TriMeOBQET)の水銀(II)および鉄(III)イオンに対する蛍光応答を詳しく調べ,BQETは水銀(II)および鉄(III)イオンを添加することで蛍光増大を示すOFF-ON 型,メトキシ基を1つ導入した6-MeOBQETは波長移動(レシオ)型,またメトキシ基を3つ導入したTriMeOBQETはON-OFF 型のセンサーとなることが分かった。置換基効果と骨格効果の相乗作用によりさらなる選択性の向上を目指すために,連結鎖長,硫黄原子数,蛍光団の最適化を行い,高い感度と金属選択性を示す化合物を開発した。
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