研究実績の概要 |
申請者らは,JIS規格に準拠した方法で光触媒によるメチレンブルーの分解反応速度を調べており,強発光性混合金属錯体を酸化チタン被覆石英粉末に担持したのち焼成すると,焼成しない場合に比べて飛躍的に触媒活性が向上することを,これまでに見出している。平成29年度は,[Pt2M4(Me2pz)8] (M = Ag, Pt2Ag4錯体; M = Cu, Pt2Cu4錯体),[Pt2Au2(Me2pz)6(Me2pzH)2] (Pt2Au2錯体)の担持量と触媒活性の相関に関する検討に加え,焼成温度と触媒活性の相関についても明らかにした。また,11族元素を含まないPt錯体(混合金属錯体合成時の原料錯体)を担持・焼成した光触媒の活性との比較を行い,Ptと11族元素を含む金属微粒子の優位性を明らかにした。 また,白金錯体および混合金属錯体を担持・焼成した光触媒の表面構造と触媒活性の相関を調べるため,錯体の担持量を変化させた酸化チタン被覆石英粉末を焼成し,TEM観察を行った。例えば,Pt2Au2錯体を担持・焼成した光触媒では,大きさの異なる2種類の金属微粒子の生成が観察され,形状の大きな金属微粒子は主としてPtからなり,形状の小さい金属微粒子はPtに比べAuの組成が多い合金であることがEDX分析から明らかになった。Pt-Au二元系では,固溶体を冷却するとPtがリッチな相とAuがリッチな相に相分離することが知られており,Pt2Au2錯体を担持・焼成した際に生成する2種類の金属微粒子の組成と良い相関が得られた。Pt錯体,Pt2Ag4錯体,Pt2Cu4錯体をそれぞれ担持・焼成した光触媒の表面構造についてもTEM観察を行い,金属微粒子の形状や,Ptと11族元素の組成についても明らかにした。
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