研究課題
昨年度は、電気化学およびメスバウアー分光法によって、触媒活性に重要なパラメータである活性サイト密度や触媒回転頻度を定量的に評価可能であることを示し、高活性化のための設計指針を得ることに成功した。本年度は、この知見・技術をもとに高活性Fe-N-ナノグラフェン/CNT触媒の合成を試みた。Fe-N-ナノグラフェンを作製するための加熱時間が活性サイト密度と触媒回転頻度に与える影響について詳細な評価をした。その結果、加熱初期過程では、前駆体分子である鉄フタロシアニンが熱分解により速やかに活性サイトを形成するが、加熱時間が長くなるにつれ、熱分解による活性サイト密度が減少することが示された。一方、触媒回転頻度は、加熱初期過程で増加するがその後は加熱時間によらず一定値を示すことが示された。活性サイトの熱分解反応を制御するために、短時間加熱および急冷却を繰り返し行う加熱プロセス(短時間繰り返し加熱プロセス)を新しく導入し、活性サイト密度と触媒回転頻度に与える影響について精査した。その結果、活性サイト密度は、ある繰り返し数で最大となり、その値は一般的な加熱プロセスと比べて2倍近く増加すること、さらなる繰り返し数では単調減少していくことが示された。一方、触媒回転頻度は、ある繰り返し数で、一般的は加熱プロセスと同様の値をとり、その後は変化しないことを明らかにした。XPSの結果から、短時間加熱および急冷却プロセスは、活性サイトの要素元素であるFeやN原子の熱脱離を効率よく抑制し、活性サイト密度の増加に寄与していることが明らかとなった。以上、触媒活性パラメーターの定量的評価法を駆使し、高活性な酸素還元活性能を有するFe-N-ナノグラフェン/CNT触媒を合成するための新しい加熱プロセスの開発に成功し、高活性触媒の開発に成功した。
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ACS Applied Materials & Interfaces
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