研究実績の概要 |
1. 本基盤研究以前の研究で得られた分子設計指針を基に、カルバゾールのπ共役性を拡張したジインドロカルバゾールを環状構造の構成部位として利用することで、2.5 nmの内部空孔を持つ大環状化合物を合成することに成功した。この大環状化合物は適切な側鎖を導入することにより、サーモトロピックなカラムナー液晶性を示すことが明らかとなった。走査型トンネル顕微鏡(STM)から、この液晶性巨大環状化合物が2.5 nmの巨大な内部空孔を持つことが明らかとなった。このサイズはカラムナー液晶として現時点で世界最大の大きさであり、タンパク質なども内包することができる大きさを持つ。(S. Kawano, M. Kato, S. Soumiya, M. Nakaya, J. Onoue and K. Tanaka, Angew. Chem. Int. Ed. 57, 167 (2018), Highlighted in News Paper: 日刊工業新聞 2018年1月5日, Highlighted in News Paper: 日経産業新聞 2018年1月9日) 2.本基盤研究の前半で、ラメラ構造を持つ液晶相を形成する大環状金属錯体を報告した。本研究では、液晶の組織構造として、ラメラ構造からより秩序性の高いカラムナー構造を構築するためには、大環状化合物のメソゲン部位とアルキル側鎖との効果的な相分離が必要であると考えた。そこで、9,10-ジフェニルアントラセン構造を持つ配位子を用いて二価の金属イオンとの自己組織化により大環状化合物を得た。またその一連の化合物の中で、サーモトロピックなカラムナー液晶を形成する大環状金属錯体を得ることに成功した。(S. Kawano, T. Murai, T. Harada, K. Tanaka, Inorg. Chem. 57, 3913 (2018)
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