研究課題
金属元素(Ce, La, Lu, Er, Y, Tm)やクラスター分子(Lu2C2, Sc3N, Sc3C2)を内包したフラーレンのUPS測定を行い、密度汎関数に基づく理論計算からシュミレーションスペクトル(SS)を合成して、実測UPSと比較することにより、内包された金属種などの酸化数及びクラスター分子の幾何構造について検証した。Ce@C80とLa2@C80では半導体的な性質であることやD3d対称であることなど、Sc3C2@C80ではSc3C2クラスターに2つの構造が存在することなどを報告した。単金属を内包した金属内包フラーレン(M@Cn)の場合、Lu, Er, Y, Tmは+3価で、フラーレンケージに3電子移動してCn3-となるが、金属2個を内包したM2@Cnでは内包された金属間に2電子が共有された結果、フラーレンケージには4電子移動してCn4-となることが分かった。Lu2C2@Cn(n= 76~90)では、内包されたLu2C2クラスターのC=C結合軸に対して垂直配位した四面体構造をしており、n数の増大に伴い、二面角が大きくなり、n>84では平面構造になることが示唆された。金属やクラスターを内包した全ての内包フラーレンで、空のフラーレンと比べてバンドギャップは小さくなるが、いずれも半導体的(バンドギャップ≠0)であることが分かった。2.0eVのバンドギャップを有するSc3N@C80に高圧を印加して電気抵抗の温度依存性を測定した結果、約9GPaでは金属的な電気伝導性を示した。降圧により常圧時の電気抵抗値を再現したことからフラ-レン重合などの化学変化でないことを確認した。現在、投稿準備中である。その他、同じ実験手法にて、高圧電導性評価実験としてCa0.5Sr0.5C6)やAgxBi2-xSe3と(NH3)yNaxFeSe)の電気抵抗の圧力依存や超電導性の評価実験も行った。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
Materials Research Express
巻: 6 ページ: 016003
10.1088/2053-1591/aae9d2