研究課題
基盤研究(C)
フラ-レンは籠状炭素化合物であり、その内部に単金属や複数原子(クラスタ-)を内包する。この内包原子からフラ-レンへの電子移動が起こり、フラ-レンの電子構造が変化する。本報告において、密度汎関数計算と組みした紫外光電子分光スペクトル(UPS)解析からクラスタ-の幾何構造やフラ-レンの電子構造に関する重要な事項を明らかにした。また、高圧電気伝導度測定法を開発・実証研究を行い、半導体的な内包フラ-レンを加圧することにより金属的な電導性への転移を実験的に確認した。
物性化学
金属およびクラスター分子を内包したフラーレンにおいて、紫外光電子分光法と密度汎関数による理論計算を組み合わせた電子状態解析を通して内包種とフラ-レンの複雑な電子相関とその多様性の一端が明らかになったことにより、内包フラ-レンに対する分子エレクトロニクスの構成材料としての可能性を示した。また、微小試料の高圧電導性評価方法の開発を通して、関連する導電性物質の物性研究に新たな知見を加えた。