本研究課題ではこれまで困難であった異核複核錯体合成に対し、「キラリティでアシストされた新奇合成戦略」を提案し、これが様々な元素に対して適用可能な有用な戦略であるという結果を得た。さらに、得られた異核複核錯体について構造解析、物性評価を行うことで、外場応答性の分子内電子移動に基づく分極スイッチ結晶を新たに見出すことに成功した。今回提案した戦略は、より対称な分子構造となることやラセミ結晶が析出しやすいといった、キラル分子で一般的な傾向を利用したものであることから適用範囲が広いと期待される。特に分子性化合物の機能開拓研究に非常に有効な戦略を実証できた点が今回の重要な成果である。
|