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2017 年度 実績報告書

側鎖を有するテトラセンの分子配列ライブラリーの構築と特異な固体光物性の探索

研究課題

研究課題/領域番号 15K05482
研究機関滋賀県立大学

研究代表者

北村 千寿  滋賀県立大学, 工学部, 教授 (60295748)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードテトラセン / 側鎖 / 固体色調 / 分子配列 / 分子間相互作用 / X線結晶構造解析
研究実績の概要

前年度の研究を展開させて、テトラセンの5,12位に異なった長さのアルキニル基の導入を行い、鎖長変化が固体物性に及ぼす効果を調査した。5,12-テトラセンキノンとアセチリドとの反応、続く塩化スズ/塩酸溶液とのワンポット処理により、テトラセンの5,12位に炭素の個数が奇数のアルキニル基(C5H7,C7H11,C9H15)の導入を行った。全ての化合物は溶解性が高く、トルエンやヘキサンなどに可溶であった。溶液中の吸収スペクトル、および、蛍光スペクトルの波形はアルキニル基の長さにかかわらずほぼ同じであった。また、蛍光量子収率も0.1付近のほぼ同じ値であった。固体の蛍光はほとんど観測されなかった。励起状態での失活過程が多く存在することが示唆された。C5H7とC7H11体のX線結晶構造解析を行い、分子の構造と分子パッキングについて調べた。C5H7体のアルキル部分はジグザグ構造をとっていたが、そのジグザグ平面がテトラセン平面に対し片方は共平面でありもう片方は直交の関係にあった。一方、C7H11体では、二つのアルキル部分がジグザグ構造をとっている共通点があったが、二つのジグザグ平面はテトラセンと共平面の関係にあった。さらに、C7H11体では、結晶学的に構造が異なった分子が単位格子内に4つ存在していた(C5H7体は一種類であった)。C5H7体の固体色調は他の側鎖長の化合物に比べるとより赤色が濃い特徴が見られた。固体の反射スペクトルの測定からクベルカ-ムンク変換を行って吸収スペクトルの形式に変形すると、吸収端が他のものに比べ50nmは長波長側にシフトしていた。この原因をX線結晶構造における分子配列から調べた。C5H7体は他の結晶に比べ、テトラセン環の間の距離が短いこと、およびπ-オーバーラップがあることがわかった。この配列の違いにより、色調の長波長化と色の深みをもたらしたことが示唆された

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Constrution of new fluorophores by Diels-Alder reaction of diacenaphthothiophenes2017

    • 著者名/発表者名
      Yuma Yamamoto, Yoshiaki Fukuoka, Jun-ichi Nishida, Chitoshi Kitamura, Takeshi Kawase
    • 雑誌名

      Tetrahedron

      巻: 73 ページ: 5725-5730

    • DOI

      10.1016/j.tet.2017.08.016

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Crystal structures of 1-hydroxy-4-propyloxy-9,10-anthraquinone and its acetyl derivative2017

    • 著者名/発表者名
      Hidemi Nakagawa, Chitoshi Kitamura
    • 雑誌名

      Acta Crystallographica Section E

      巻: 73 ページ: 1845-1849

    • DOI

      10.1107/S2056989017015973

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 置換テトラセンおよびビテトラセン誘導体の合成と性質2018

    • 著者名/発表者名
      辻航平, 加藤真一郎, 北村千寿
    • 学会等名
      日本化学会第98春季年会
  • [学会発表] 5,6,11,12,17,18-ヘキサヒドロキシトリナフチレン誘導体の合成と性質2018

    • 著者名/発表者名
      西田圭吾, 加藤真一郎, 小野克彦, 北村千寿
    • 学会等名
      日本化学会第98春季年会
  • [学会発表] 2,3-ジニトロキニザリンによる金属カチオン応答性の検討2018

    • 著者名/発表者名
      中川秀美, 竹原宗範, 加藤真一郎, 丸尾雅啓, 北村千寿
    • 学会等名
      日本化学会第98春季年会
  • [学会発表] 2,3-ジニトロキニザリンの合成と溶媒依存光物性2017

    • 著者名/発表者名
      中川秀美, 竹原宗範, 加藤真一郎, 丸尾雅啓, 小野克彦, 藤本和宏, 北村千寿
    • 学会等名
      第28回基礎有機化学討論会
  • [学会発表] ナフトキノン環化三量体の誘導体の合成と性質2017

    • 著者名/発表者名
      西田圭吾, 加藤真一郎, 小野克彦, 北村千寿
    • 学会等名
      第11回有機π電子系シンポジウム
  • [学会発表] 2,3-ジニトロキニザリンの溶液中の光物性2017

    • 著者名/発表者名
      中川秀美, 竹原宗範, 加藤真一郎, 丸尾雅啓, 北村千寿
    • 学会等名
      第11回有機π電子系シンポジウム

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公開日: 2018-12-17  

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