研究課題/領域番号 |
15K05494
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉田 和弘 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60375607)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ピリジン環 / 面不斉 / フェロセン / 閉環反応 |
研究実績の概要 |
ピリジン環の4位にジアルキルアミノ基を有するN,N-ジアルキル-4-アミノピリジン(DAAP)は様々な有機合成反応で広く利用されている求核的有機触媒であり、これらにキラリティーを導入し、不斉反応に応用する研究は重要な研究課題として位置付けられている。特に、フェロセン骨格が縮環したFc*-DAAP(面不斉ピリジン誘導体)は最も効果的な不斉ピリジン触媒の一つとして知られている。しかしながら、その既存の合成法は汎用性に乏しいことでも知られている。そこで本研究では、ピリジン骨格の新たな合成法を開発することで、Fc*-DAAPを含む種々の不斉ピリジン化合物の汎用的合成法の開発を目指した。 初年度は、代表者らがこれまでに開発することに成功した閉環メタセシス反応を利用するピリジン環合成法をベースに、より優れたFc*-DAAPの合成ルートの開発を検討した。その結果、金属触媒を利用しない新たな環化反応を開発することで、より汎用的なFc*-DAAPの合成法を開発することに成功した。本合成法は、アトムエコノミーに優れており、また先行手法と比較して工程数が大幅に削減されているため、目的物の大規模合成を実施できるという重要な利点をもつ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、新たなピリジン環合成法の開発に着手し、狙い通りに計画していた合成手法の開発に成功した。また、本合成法を利用することで、Fc*-DAAPの汎用的合成手法の開発にも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、本年度開発した合成法を利用することで種々のFc*-DAAPの誘導体の合成を行う。特に、フェロセンCp環上を置換したペンタメチル体やペンタフェニル体の合成に取り組む。また、ピリジン環の4位に様々なジアルキルアミノ基を導入することで新規の触媒を多数合成し、不斉触媒としてのこれらの性能を評価する。
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