近年の有機合成化学の分野では、「ideal synthesis」を実現させるための画期的な合成戦略が求められている。このような観点から、私たちは連続メタセシス反応に着目し、高度に歪んでいるシクロブテンカルボン酸エステルからγ-ブテノリド骨格を構築する環転位メタセシス反応を開発した。本研究では、環転位メタセシス反応のさらなる応用を図るとともに、生合成を模倣した反応と組み合わせることで、より複雑な構造を有する天然物の合成研究を行った。その結果、クラビラクトンDの全合成および構造訂正を達成することができた。さらに、アクアトリドの生合成前駆体の合成にも成功した。
|