自己修復材料は生体のもつ修復能力を人工合成材料に付与する試みであり,製品の寿命,安定性,信頼性向上が期待できる新しい材料である。本研究ではゴム弾性を示し良好な成形加工性を有する熱可塑性エラストマーに修復機能を付与するジスルフィド結合を導入して刺激応答性自己修復熱可塑性エラストマーを合成し,その機能を評価した。合成試料を意図的に破断した後密着させてから紫外光を照射すると密着部分が修復し,破断伸びが90%以上回復した。修復はジスルフィド結合の動的組み替えとラジカル発生による架橋反応により達成された。本研究は熱可塑性エラストマーに自己修復性を付与する新しい方法論として波及効果が期待される。
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