研究実績の概要 |
5員環環状カーボナート基を側鎖に持つポリシロキサンに関して、リチウム塩存在下でのイオン伝導性、熱物性などの諸性質を検討した。 白金触媒存在下で、ジメトキシメチルシランに4-ビニル-1,3-ジオキソラン-2-オンを付加させてることで、2-(1,3-ジオキソラン-2-オニル)エチルジメトキシメチルシラン(MSOC)を合成した。得られたMSOCをモノマーとして、これに触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸を添加して50℃に加熱して重縮合することにより、5員環環状カーボナート基を持つポリシロキサン(polyMSOC)を合成した。GPC測定により得得られたpolyMSOCの数平均分子量と重量平均分子量はポリスチレン換算でそれぞれ、3,300、6,200と見積もられた。得られたポリマーにリチウムトリフルオロメタンスルホナート(LiOTf)、またはリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を添加し、イオン伝導度を測定した。LiOTfを添加した場合は、カーボナート基に対して2.0等量の塩添加量でイオン伝導度が最大となり、30℃で0.036マイクロS/cmを示した。一方、LiTFSIを添加した場合は、塩添加量の増加に従いイオン伝導度が上昇し、カーボナート基に対して4.0等量の塩添加量時には、30℃で77マイクロS/cmの高いイオン伝導度を示した。 示差走査熱量分析(DSC)測定の結果から、LiOTfを添加した場合はポリマーのガラス転移温度(Tg)が上昇するのに対して、LiTFSIを添加した場合はTgが低下することがわかった。さらに、熱重量分析(TGA)測定の結果から、LiTFSIを含むpolyMSOCは200℃以上の熱安定性を有することがわかった。
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