研究課題/領域番号 |
15K05526
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
兼清 泰正 北見工業大学, 工学部, 准教授 (40435748)
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研究分担者 |
青木 寛 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 主任研究員 (00392580)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | ボロン酸 / 薄膜 / 糖 / 過酸化水素 / 次亜塩素酸 / 色素 |
研究実績の概要 |
ボロン酸含有薄膜が示す分子認識機能の高度化を目指した検討を行った。 まず、新規の分子構造を有するボロン酸モノマーの合成に取り組み、ボロニル基に隣接した部位にヒドロキシメチル基を導入したモノマーや、四級アンモニウム部位を含むモノマーを合成することに成功した。得られたモノマーを用いて薄膜を作製し、糖に対する応答特性を検討したところ、中性付近のpHにおいて、従来のモノマーを用いた場合よりも高い感度で、糖濃度に依存した色調変化を示すことが明らかになった。 つぎに、糖以外の化合物に対する応答メカニズムの新規導入を検討した。種々の濃度の過酸化水素水溶液にボロン酸含有薄膜を浸漬し、引き続いて色素水溶液に薄膜を浸漬したところ、過酸化水素濃度に応じた多様な色調変化が現れた。この応答は、薄膜を構成するモノマーの種類や組成、色素の種類や溶液のpHなど、様々なパラメータに依存して特性が変化することがわかった。例えば、薄膜中のボロン酸基とアミノ基の比率を変えることにより、薄膜が色調変化を示す過酸化水素濃度領域をコントロールすることができた。また、アニオン色素とカチオン色素では正反対の変色挙動を示し、過酸化水素濃度が増大するにつれて、アニオン色素では無色から着色状態へ、カチオン色素では着色状態から無色へとそれぞれ変化していった。さらに、色調の異なるアニオン色素とカチオン色素を同時に使用すると、過酸化水素濃度に依存した多彩な色調変化が出現した。 加えて、次亜塩素酸に対する応答についても検討を行い、次亜塩素酸濃度に依存した薄膜の色調変化が生じることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規ボロン酸モノマーの合成について、種類は少ないながらも成功しており、新規モノマーが糖に対する応答感度の向上に有効であることが確認できている。 また、過酸化水素に対する新規応答メカニズムの確立に成功し、次亜塩素酸に対しても応答可能な薄膜の作製に目処が立っている。 以上のことから、当初目指した目標に向けて、おおむね順調に進捗しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
新規ボロン酸モノマーの合成をさらに進めて、様々な分子構造を有するボロン酸モノマーを用意し、ボロン酸構造の違いが薄膜の応答特性に及ぼす影響について検討していく。 過酸化水素や次亜塩素酸などの活性酸素種に対する応答機能の検討も引き続いて行い、新規応答メカニズムの確立を進めていく。 さらに、ホルムアルデヒドなど様々な化合物に対する応答機能の導入を目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究打合せのための旅費を研究分担者に配分したが、年度途中の追加採択であったため、研究費が配分されてから年度末までの期間が短く、打ち合わせのための日程を確保できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究打合せ回数を増やして使用する。
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