容易に入手できるL-アミノ酸等を連結させて不斉中心を増やしたことにより、ランタノイド錯体のキラルシグナル分離能を向上させた。さらに、付加体の生成定数と結合した基質の化学シフトを実験的に求めたため、測定しなくてもキラルシグナルの分離挙動が予想できるようになった点は学術的に注目に値する。また、開発途上にある可動式の低磁場NMRを利用することによって、食品の汎用的なその場分析にNMRが有効利用でき、新規な食品の真正証明システムを構築できると期待される。キラル化合物が含まれる農薬もあり、光学活性体間で分解・代謝過程や環境に対する影響も異なる場合があるため、農薬の動態分析にも有効な方法となりえる。
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